クリスマスソングのトラウマ 2007

螺旋回廊

今年最後の連休はクリスマスイブが含まれている。例年のように街の商業施設は何処もクリスマスソングがかかっている状態だ。ちょうど一年前にも同じようにクリスマスソングのことを書いたが中途半端に終わったので今回はその補足をしたいと思う。


話は2000年1月のお正月気分もスッカリ抜けた頃に遡る。その頃の私は内臓疾患療養のため前年秋から休職して、病院に行く以外は自宅に籠もっていることが多かった。
昼間に自宅にいるとやれることはある程度限られてくる。定期的に会社から送付されてくる業務報告書の整理やゲームとネットサーフが関の山だった。当時のネット環境はISDNテレホーダイFTTHを使用している現在とは大きな差があったし掲示板も「あめぞう」から避難してきた「2ちゃんねる」が出来たばかりのころ


そんな時期に手を出したのが自社名義作品が無いデベロッパー時代のアージュruf名義で発売した「螺旋回廊」だった。
このソフトは女性キャラが4人登場するが劇中の掲示板サイト「HEAVEN」の住民に壮絶な凌辱行為を受ける。特に主人公:佐伯を慕うヒロイン:水代葵は、クリスマスイブを佐伯と過ごした後に拉致されレイプビデオを撮影されてしまう。
このビデオは佐伯に送りつけられて、彼がその一部始終を見終わったタイミングで自宅玄関前にポリバケツが置かれる。ポリバケツには散々凌辱された水代葵が茫然自失の状態で詰め込まれている。ここでその中身を見た佐伯は蓋を閉めて自室へ戻ってしまい、ポリバケツは誰かに回収されて以降彼女の行方は判らなくなるというエンディングを迎える。
掲示板HEAVENの住民は物語冒頭から佐伯を監視していたのだ。(実際には佐伯のゼミに所属する学生が犯人)
このソフトのOP/EDにはクリスマスソングの定番「赤鼻のトナカイ」が静かに流れるのだが、「寝取られ」なんてジャンルが無かった時代の話で一切ハッピーエンド無しのガチンコ仕様はトラウマモノだった。
それ故にクリスマスソングを聴くと何故か暗い気分になってしまうのだ。


その頃はネット人口は今の数分の一で更に掲示板利用者なんて少数派だったので、アンダーグランドの臭いがかすかにしていた時代だったような気がした。
そんな微妙な空気を捉えていた隠れた名作だと今でも思っているボンクラな私が市井でヒッソリと今日も生きている。