アリーテ姫(NHK-BS2_12/7_20:00〜21:45)

 NHK-BS2では12/6〜/9の4日間にて長編アニメーション映画特集を放送している。12/8は
2000年東京国際ファンタスティック映画祭で上映されて、2001年に一般公開された「アリーテ姫」でした。

【ストーリー】
 中世のお城の中で花婿となる騎士の到着を待つアリーテ姫は、本を読むのが大好きで想像力も豊かな頭のいい少女。周囲の人間は「女性にとっての幸せは立派な殿方の妻になること」と思っているらしいけれど、彼女はそれに納得できない。
塔の窓から見える庶民の暮らしは、あんなに生き生きと輝いているのに、何不自由なく暮らしている自分の生活は暗くくすんでいる。
外に出て自分で自由に暮らしたい。世界中の不思議を自分の目で見てみたい。それがアリーテ姫の望み。でもそんな彼女を父王も重臣たちもまったく理解しない。そしてアリーテは城を抜け出そうとするが捕まり、悪い魔法使いの呪いで彼の妻にされてしまう。

【感想】
 2000年の東京ファンタでの上映を見た友人からの勧めで、恵比寿ガーデンヒルズにある東京都写真美術館にて鑑賞したのが今から4年前の2001年の夏
 恐らく放送電波に乗らないだろうと思っていた作品が今年の9月にNHK-BSHiで放送されて昨日はBS2でされた。趣味性が高いとされるNHK-BS恐るべし!
 「MEMORIES」(95)「SPRIGGAN」(98)とクールなイメージが先行するSTUDIO4℃が製作した長編だが「魔女の宅急便」の演出補を担当した片淵須直氏を監督に迎えて、中世ヨーロッパのような世界観を暖かな雰囲気を作り出すことに成功したと思う。

 ストーリーとしては序盤は原作*1となる「アリーテ姫の冒険」という児童文学作品に沿う形で、白馬の王子様が現れるのをじっと待ち続ける昔ながらの童話のお姫様に対するアンチテーゼ*2として進みます。中盤以降は監督の独自の解釈が入っているらしく、子供が大人に成長するとき通ると思われる普遍的な物語へと変わっていきます。
 中盤以降は登場人物がガクッと減るが、荒廃した土地に緑を取り戻す夢を語る飯炊き女のアンプルが印象に残る。
 ただ残念なのがアリーテ姫を通じて、監督の一人語りが多すぎる印象が拭えないシーンが多く飽きてしまうことかな

 ラストのインパクトがもうひとつだが、しっかりとした世界観を構築していてキャラクターの造形や静かな雰囲気は非常に良いです。

*1:原作は未読です。

*2:この原作本は日本でも「フェミニズム」や「ジェンダーフリー」という文脈でマスコミに取りあげられることも多かったらしいです。翻訳を担当したのは「ウィメンズ・プレイス」という女性グループで監修が横浜女性フォーラム